2006年10月吉日
『ある老学徒の手記』
復刻・増補版(定価2000円)発行のご案内

『ある老学徒の手記』鳥居龍蔵著・朝日新聞社刊を元燕京大学(現北京大学)時代の愛弟子であった安志敏名誉教授(現北京大学人物誌)及び国立民族学博物館の関雄二教授(南米調査)のご協力を得て完成させました。

謹啓
秋冷の候となりましたが皆様にはご健勝にてご活躍のことと拝察致しております。
さて、鳥居龍蔵博士の『ある老学徒の手記』復刻版発行に当たりましては格別のご支援を頂きまして誠に有難うございます。お蔭さまで9月末を持ちまして在庫は数冊を残すのみとなりました。
『ある老学徒の手記』(鳥居龍蔵著1953年朝日新聞社発行)は絶筆絶版となっておりましたものを鳥居フアンのご要望に応えて復刻いたしましたが原書の 「はしばき」「結語」にありますように初版本では昭和12年以降のこと即ち燕京大学時代及び南米調査については記録されませんでした。
2003年復刻版発行に当たって中国での取材で、愛弟子の安志敏教授(*1)、盧念高教授、唐進倫教授等に直接面談し『燕京大学人物誌』の記述を得て増補しました。
この度更に東京大学の許可を得て関雄二教授(国立民族学博物館)が東京大学創立120周年記念論文集に寄稿された「鳥居龍蔵と南米調査」を採り入れて復刻増補版として発行することになりました。
尚、増補版は定価を2000円と致しておりますが、年内は送料をネスト企画で負担いたしますのでお早めにご注文ください。

謹白
ネスト企画 代表 鳥居貞義
〒540−0012大阪市中央区谷町1−3−19
丸益ビル4F
Tel;06−6941−4615
Fax;06−6941−7425
ご注文は下記いずれのアドレスでもお受けいたします。
nestplan@air.ocn.ne.jp (ネスト企画)、HQP00473@nifty.com (鳥居貞義)
また、こちらからもご注文できます。
http://www1.ocn.ne.jp/~nestbook/

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国立民族学博物館 電話;06−6876−3112
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北九州中国書店   電話;093−921−6570

ある老学徒の手記 ご案内

 わが国考古学・人類学の先駆者で、世界的にも著名な鳥居龍蔵博士の没後50年を記念して、絶筆、絶版となっている『ある老学徒の手記』(1953年)を原本発行の朝日新聞社のご厚意で、私どもが復刊することになりました。
 わが国考古学・人類学のフィールドワークの原点とも言うべき本書は考古学・人類学を学ぶものにとってバイブル的存在で、今尚斯学の多くの人々の研究対象 にもなっておりますが、既に絶版となっており、古本市場では2500円以上で扱われていましたが、それも今は入手困難になっています。
 この度、鳥居龍蔵博士没後50周年記念イベントのひとつとして、復刊出来ることは大変意義のあることと存じます。復刊に当たって、サイズを大きくして読 み易くしたこと以外は忠実に復元している他、『ある老学徒の手記』出版の2年前まで教授をしていた燕京大学時代の記録も『燕京大学人物誌』からの抜粋を孫 の鳥居玲子氏の翻訳により公開しています。ここに発売に先立ってご案内申し上げます。
平成15年4月4日(鳥居龍蔵生誕133年の日)
鳥居龍蔵没後50周年記念
『ある老学徒の手記』復刊の会
鳥居龍蔵親戚・縁者の会
ネスト企画代表 鳥居貞義

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ある老学徒の手記復刊にあたって

  日中国交正常化30周年に当たる昨年(2002年)大阪日中友好協会が主催する「中国文化フォーラム」で「日中"知"の交流−戦前の日本が関わった中国の 高等教育−」というテーマで5回シリーズの講演会が開催され、最終回の9月21日に「鳥居龍蔵と燕京大学」とのタイトルで、私が講演するようにとの依頼を 受けました。鳥居龍蔵は私の親戚でもあり、父からはよく龍蔵さん(家族では博士のことを龍蔵さん、きみ子夫人のことをおキミさんと呼んでいました)の話を 聞かされていました。又、次男の鳥居龍次郎氏とは親交があり、小著『指学問』の序文も書いて頂きました。更に龍次郎さんのお別れ会(1998年没)では親 戚代表で弔辞を述べました。更に遡れば徳島公園に鳥居龍蔵の顕彰碑が建立(1953年)されたときは若干18歳の高校生であった私が答辞を述べました。
このように私的には色々と縁があり、情報もあったのですが、あくまでも私的な内容でしたので文化フォーラムで「鳥居龍蔵と燕京大学」というタイトルで公式 に話すということになると全く情報は不足していました。そこで講演を依頼されたのを機会に改めて中国で鳥居龍蔵の愛弟子たちに会って取材することにしまし た。その結果、鳥居龍蔵が今も中国で高く評価されていることがわかりました。例えば、現在の中国の各界で活躍している重要人物が学んだ燕京大学が2000 年に発行した『燕京大学人物誌』には燕京大学で教鞭をとり、弟子たちに大きな影響を与えた唯一の日本人教授として記事が掲載(安志敏教授記)されていま す。 取材では安志敏教授、盧念高教授、唐進倫教授など鳥居龍蔵博士(燕京大学客員教授)と親交のあった人たちが異口同音に鳥居龍蔵博士の業績は勿論、人 間的な偉大さについても語ってくれました。
 このような事実を知った私は鳥居龍蔵博士の孫の玲子さんとも相談して鳥居龍蔵没後50年に当たる今年鳥居龍蔵を顕彰するための何かを実施する決心をし先 ずは絶筆、絶版となっている『ある老学徒の手記』を復刻することにしました。原本を出版した朝日新聞社のご好意で版権について了解を得てこの度発行するこ とになりました。原本は紙が不足している時代に良質でない紙に印刷されたものであり、更に旧漢字のため印刷され文字も一部欠落があり読みづらい点がありま したので、一度は当用漢字に打ち直したのですが、読み易くするためにサイズのみ変更した以外は出来る限り原本通りに忠実に復刻することにしました。本書は 単なる手記でなく、各地を調査旅行したときにも背景が克明に記されており、日本国内旅行において書かれた記述はその街の歴史を知る上で貴重な資料であると 思われます。この本を復刻した大きな目的は『ある老学徒の手記』の「はしがき」と「結語」に記載された次の記述にあります。

はしがき: 本書は私の自叙伝であって、先ず私の生まれた明治三年(1870)から昭和十二年(1937)までのそれを記したものである。昭和十二年以降今日にいたるまでの事は、次篇において発表する考えである。(中略)
本書は昨年十二月帰国早々朝日新聞社出版局より自叙伝を依頼されて起草もので、(後略)
昭和二七年九月十日 建設相公邸に於て 鳥 居 龍 蔵
結  語: 私 は以上の如く、私の明治三年四月四日に生まれてから昭和九年までの自叙伝を書き記した。その後の事、即ち南米における人類學・考古學取調旅行や北米のまた 斯學上の事項から大正十四年中華民國北京燕京大學に招聘せられ、さては中共となり昭和二十六年十二月七日に歸國する間までの記事は、紙面の都合上記す能 ず、これは止むを得ないから、次篇にて發表することにした。

即 ち、鳥居龍蔵は『ある老学徒の手記』を発行した翌年に他界しているので次篇は残念ながら日の目をみることはなかったのですが、この文勢から判断すると『あ る老学徒の手記』はあくまでも前編であって、後編(次篇)も原稿は既に出来上がっていたものと推測することが出来ます。ではその原稿(次篇)がどこにある かということですが、たまたま鳥居記念博物館の収蔵庫から2万点以上の本と日記及び資料類が発見されたということが、去る2月16日徳島市で開催された 「没後50年、今、鳥居龍蔵を考える」公開研究大会で鳥居博士顕彰会事務局長の西田素康氏から発表がありました。或いは出版社乃至は他の研究者に手渡され ているか定かではありませんが、いずれにしても『ある老学徒の手記』の次篇が発見されれば、鳥居龍蔵を知る上で、東京大学の収蔵庫から多量の乾版写真が発 見された時以上に貴重な資料となるものと確信しています。
 西田氏の発表資料の中に鳥居龍蔵が「調査旅行の心得」について書いた一文があります。鳥居龍蔵の調査旅行が如何に周到に準備されたものであったか、鳥居 龍蔵の性格をよく現しています。この記述に見られる彼の性格から考えても後編(次篇)を残していることは間違いないと確信しています。
『ある老学徒の手記』の復刻(次篇)が日の目を見るチャンスになることを念じて、復刻に当たっての私のはしがきとさせて頂きます。

平成15年4月4日(*) 牧野の書斎にて 鳥 居 貞 義
日記に書かれた「調査旅行の心得」について
(西田素康鳥居博士顕彰会事務局事務局長発表資料より)
「探検旅行は一寸外見よりせば、頗る気楽なる様なれども、実に是程困難なるものは可無之と想像致候。
其は第一身体を健全に保たざる可からず。若し途中にて病を生ぜんか、これが為旅行に不都合を来たすを以て常に摂生に注意せざる可からず。
第二、規則的の行いを要すること旅行中見聞の事どもを其日宿泊せし処にてかき改め 且つ 其日の日記をつけざる可からず。云々
(人類学雑誌)明治28年刊」
(*)4月4日は鳥居龍蔵の誕生日(今年は生誕133年、没後50年)
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