ま え が き |
『ふるからーがゆく』改訂版発行に際して ―会社の卒業論文を提言― |
大学で文科系の学問を学んだ者は僅か二年間の研究で卒業論文を纏めている。しかも大半は就職を意識しながら片手間に仕上げていると言っても過言ではない。私の卒論も探求が浅く、大学にいつまでも保管されているかと思うと気恥ずかしい限りである。 |
二〇〇五年八月吉日 |
鳥居 貞義 |
(*)タイムカプセルについて 情報化時代と言われ、情報が氾濫している現代において、例えば、二十世紀末、二十一世紀初頭の庶民の生活がどのようなものであったか、五〇〇年後に残され る情報はほとんど無い。この情報を残す方法は薬品を使わない手漉きの和紙に油煙から作った墨で、糊を使わない「和とじ」の本にするか、現代科学の粋を集め て作製したタイムカプセルにして残すしかない。前者の方法でも実績的に千年位は残せると思うが焼ければ万事休すである。創業者の二百五十年説に因んで、二 百五十年後に開ける目的で松下電工の社内にタイムカプセルが埋蔵されている。その時私は墨で書いて和とじにした冊子を入れてもらった。 会社を卒業したときに、偽りの無い庶民の歴史、例えば自分史をタイムカプセルにして後世に残すことを提唱した。残念ながら未だ実現出来ていないが、機会を見つけて実現出来ることを願っている。 大阪万博の記念に松下電器が毎日新聞社と共同でタイムカプセルを企画・制作して大阪城内に埋蔵したときの予算が二億円と聞いている。約三十年後に実現し た松下電工のタイプカプセルは小型化と非酸化技術、カプセル素材の技術の進歩で3千万円位で出来ている。三百冊の卒業論文を埋蔵したいと言うのは一冊の埋 蔵費用を十万円と想定している。 |
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「ふるからー」がゆく 初版 より
ま え が き |
私は『記録』というものに長年こだわっています。 |
1996年12月 鳥居貞義 |
序 文 |
最近、「歴史認識」という言葉をよく耳にします。どうも日本人は、目先のことには興味や関心を示すが、過ぎ去ったことにはあまり頓着しない、どちらかと言えばマイナス・イメージの言葉で聞こえます。つまり日本人はあまり歴史を大切にしない、ということなのでしょうか。 |
南部敬之 |